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片手の演奏とは思えない:Flute [楽器]

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昨日触れました 熊谷永子 さんの演奏ですが、YouTube で視ることができます。



今月10日には NHK のニュースでピアノ、チェロとのコンサートの様子が取り上げられたようです。



熊谷さんは 局所性ジストニア という症状だそうで、何かで聞いたことのある "書痙" というのもその一つだそうです。

東京女子医科大学 脳神経外科の HP に詳しい説明があります。


熊谷さんの場合は左手の指が思うように動かないという症状だそうで、相原さんが片手で演奏できるフルートを作っているということを知るまでは演奏家としての活動ができなくなっていたのでしょう。

相原さんが左手だけで演奏できる楽器を作ったのが6年半ほど前です。

その時伺ったお話では、確かリハビリに関わる方から相談されたのがきっかけだったように記憶しています。


その前(2014)には世界初ではないようですが左構えのフルートを作られていて、これがリハビリにもなるというお話でした。



古くはドップラー兄弟が普通のフルートと左構えのフルートでデュオを行ったというということが伝わっていますが、実際にどういう様子だったのかは詳しいことは伝わっていません。



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ぜひ動画をご覧になってみてください。

音だけ聴いたら片手だけの演奏とは思えないはずです。


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竹製の頭部管:Aihara Flute [楽器]

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昨日は山野楽器でアイハラフルートフェアでした。

年に2回の恒例です。

毎週一日か二日各フルートメーカーのフェアが行われます。

メーカーによっては調整会もここで行います。



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二週間前のイヴェントでも見たばかりですが、今回アイハラさんで目新しいものは竹(篠竹)せいの頭部管でした。

篠竹は篠笛に使われる素材です。



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今のところ二本できています。



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表面には何も処理は施されていませんが、割れ防止のため漆を塗るとのことです。

ピッコロでも内側に漆を塗る場合がありますが良い結果が得られるようです。


吹いてみた感じは鳴りやすく、明るい音色です。

しかしもう少し抵抗があってもいいかなという印象もあります。

遠鳴りするのかどうか。



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こちらはピッコロの頭部管。

左は柘植、右は珊瑚です。



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ピッコロと各種フルート用のフットフォン。



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ピッコロはどういうわけかある時特定の音が鳴らなくなってしまうことがあるそうで、そうした場合でもこれを取り付けると不思議に鳴るようになるとは相原さんの説明です。


以前も触れましたがフルートは理論上の長さより少し短く作られています。

空気の波が往復して音が作られるのですが、フルートの足部管の終わりでぴったり反射するわけではなく、少し外側に出たところで折り返します。

少し専門的な言葉ですがこれを開口端補正と言います。


金管楽器は皆開口部にベルを持ちますが、木管楽器もフルート族を除いてベルを持っています。

少し話が逸れますがサックスはだんだん管が太くなる円錐管ですが、フルートは頭部管が円錐管、胴部管以降が円筒管という構造です。

クラリネットは円筒で、端にベルがあります。


フルートは開管、それ以外は閉管という違いがあります。

フルートはリードを使わないエアリード、それ以外はリードを使います。

リードもオーボエやファゴットはダブルリード、クラリネットやサックスはシングルリードです。


こうした違いによって各楽器が個性的な音を出します。


金管楽器は長い円錐のベルに至るまでは円筒管です。


端が単純な筒であるフルートにもベルがあってもいいのではないかと相原さんにお話ししたのが12年以上前で、まだ正式に商品として世に出ていなかったものをプロの演奏家が強引に買っていってしまったのが 2011年の11月です。



相原さんに提案したのがその夏で、試作品ができたのが九月でした。




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相原さんがいろいろなリッププレートを作るようになったのは象牙の代わりに鹿の角を使ったらどうかと提案したことがきっかけでした。




鹿の角の構造。



カタログ。




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左は黒珊瑚です。

以前黒珊瑚と言っていたものは正確には深海松(ふかみる)ですが、こちらは本当の珊瑚とのことです。



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篠竹。



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クラウンは柘植です。



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評判がすこぶる良いという B♭足部管。

H(B)足部管より安定しているそうです。



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C足部管はトーンホールが二つ、H足部管は半音下まで出るのでトーンホールは三つ、そして B♭足部管はさらに一つ多くて四つです。



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これはちょっと変わっていますが、鏡のような部分が動きます。



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試してみなかったので吹奏感は分かりません。

多分息が無駄にならないようにというのが狙いでしょう。



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さて以前からラインアップに加わっている右手だけで演奏できるフルートですが、作られ始めたのは5年前の一月です。ほぼ6年前です。



左手用はその約半年前に完成しています。



2019年の3月には富山のプロの方が使い始めたということを記事にしました。




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その演奏家 熊谷永子 さんがすっかり楽器を自分のものにされて動画も発信し、10月には演奏会の様子が NH のニュースでも取り上げられたとのことです。



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これについては改めてまた取り上げます。


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SEIKO メトロノームウオッチ@山野楽器 [楽器]

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山野楽器本店では恒例のフルートフェアが昨日から行われています。

今回は Grand Flute Festa 2023 と銘打っていますが、内容はいつもと同じです。



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旧三愛ビルはまだ工事中です。



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1F 2F は au のお店になっています。



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フルートに関しては今回は特に取り上げるような内容はなかったのですが、相原さんは竹(篠竹)製の頭部管や柘植のリップの頭部管を展示していました。



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ぜひ見たかったのは先日ネットのニュースで流れてきた腕時計です。

3F で現物を見ることができます。

詳細はメーカーの HP でご覧いただきたいのですが、分針がメトロノームとなって、左右に振れます。


テンポは文字盤の一番外側の目盛でご覧いただけるように選べます。

速度記号も併記されています。


チューニングの基準音(440, 442, 443Hz)を鳴らすことができます。

音程は A と B♭が選べます。

チューナーではありません。



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厚みはそこそこありますが、重さは 45g。

平均月差は±15秒。

電池寿命は 2年。(使い方によります)

日常生活用防水で牛革のバンドがついています。


デザインは Standard Line(6モデル) と Casual Line(4モデル)の二種類があります。

Standard Line の方がやや高いです。



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四つのボタンでコントロールします。


メトロノームモードでは短針でテンポの数字を示し、長針が左右に振れます。

秒針はないのですね。

日付もありません。


メンズとレディースの区別もありません。

レディースとしては大きいですが、これ以上小さくては動きが見づらいでしょう。


刻む音は ON - OFF と切り替えができます。

実際の動きはぜひメーカーHP でご覧ください。



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右に見えるのが Casual Line ですね。

Standard Line のうち "モノトーン" は残り一個でした。

実際に手に取って見ることができるのはここだけなのだそうです。

通販なら他にもあるのでしょう。


デジタルなら他にも製品はあり、振動で腕に拍を知らせてくれるものもあります。


振り子の動きを見せてくれるのが画期的ですね。

よくこんなものを考えましたね。

液晶で画面に動きを表示するようにするのならいくらでもできると思います。


練習の時など譜面台に置いて使うことができます。

腕にはめたまま基準音を鳴らして耳元に持っていって確認することができそうです。


練習時間以外の時にちょっとテンポを確認したい時などはいいかもしれません。


大きさはちょっと小さいですね。本格的にやるなら普通の単体のメトロノームを使えばいいと思います。

ただ、身軽にしたい時などはいいかもしれません。


拍を刻む音は鳴るのですが、音量は大きくはないので楽器を吹きながらでは聞こえないでしょう。


Standard Line が 23,100円、Casual Line が 20,900円(共に税込)とのことです。

限定ではないようなので慌てて買わなくてもすぐなくなることはないのではないかと思います。


Grand Flute Feata 2023 は明日までです。

いつもは金曜〜日曜で開催されるのですが、今回は珍しいですね。

会場の都合なのかもしれません。


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お手入れ用品はリニューアルしたらしい:YAMAHA [楽器]

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楽器のお手入れ用品は頻繁に買うものではないので気が付かなかったのですが、ヤマハのクリーニングクロス(スワブ)がリニューアルされていたようです。


以前フルート用にロングクリーニングロッドという、フルートを組み立てたまま中の水分を拭き取るための掃除棒があったのですが、その掃除用に大判のクリーニングクロスもありました。


今日目に入ったのはその掃除棒に専用の形状のクロスをセットした商品です。

内側全体を拭き取るには足りないのではないかと思えるのですが、頭部管は拭き取りやすかなという印象です。



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お値段高いですね。
クロスだけでいいのですが。
 
他にも金管楽器用のクロス(スワブ)が並んでいますがみんな同じ色です。
多分同じ素材なのでしょう。
 
頭部管や楽器の内部は今まではガーゼやクリーニングクロスとして売られていたものを使うのが普通であったのですが、それより良くなったのでしょうか。
 
こうしたものはあまりリニューアルすることはないのですが、何か良くなった点があるのでしょうね。
そのうち試してみようかと思います。
 
 
明日の朝は更新は行いません。

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久しぶりに楽器の調整@山野楽器 [楽器]

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今朝はやっぱり撮影できませんでした。


どんよりとしたお天気でしたが、1年ぶりくらいの楽器の調整のために銀座に出ました。



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木村屋さんの店頭では紅葉が目立っています。



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傘は要りませんでしたが、午前中降ったようです。



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木村屋さんはお客さんが途切れません。



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三愛ビルは三月から建て替え工事が始まったようです。



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三越前のライオンはマスクを外していました。



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記念写真を撮る外人さんもいました。



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歩行者天国が実施されています。



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反対側をモノクロで撮ってみます。

休日の割には人が少なかったです。



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頭部管のすり合わせを少々調整。



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リッププレートの変色を除去。



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いくつかのキーも調整。



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さっぱりしたところで、気持ちも新たに練習しましょう。



明日は撮影できそうですが、明日になってみなければわかりません。


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YAMAHA の頭部管を比較する [楽器]

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山野楽器本店を訪れるのも久しぶりです。



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日差しは夏のようです。



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今日は YAMAHA フェアです。

試奏時間をあらかじめ予約しておきました。

Bijou の頭部管 Tyoe H の個体差を比べてみようというつもりでしたが、全タイプを並べていただけました。


他に試奏用の Bijou 本体も。



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Type E を除いた残りを全て吹いてみました。

Type H はゴールドの頭部管もありましたが、触りませんでした。



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Type C にはウエイトを増したクラウンが装着されています。



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ほぼこの表の通りの印象ですが、Type H はやはりかなり煌びやかな響きを持っているようです。

先日先生に「派手な音」と言われました。


Type A は抵抗感も少なくとても吹きやすいモデルです。

ですがもっと深い響き、微妙な表現が欲しい時にどこまで応えてくれるか心配な面があります。

イデアルに標準装備でとても評判が良いようですが、確かにそうだろうと思えます。

しかし上達した時、別の頭部管を試したくなるかもしれません。

独特のリッププレート形状に唄口のアンダーカットを大きく取り、管体テーパーは絞りの深い2段テーパーを採用。幅広いダイナミックレンジを持ちピアニッシモでも抜群の発音性を誇ります。

(YAMAHA の HP より)


Type K はライザーが高く、リッププレートの手前が持ち上げられたような独特の外観を備えています。

多彩な表現が可能とのことですが、確かにポイントが広く、どのような吹き方でそれに応じた響きを出してくれるような印象があります。

そういうものを求めている人にはぴたりとハマってしまうとのことでしたが、理想の音や自分の響きを探し求めいている最中、という人が使うと何が何だかわからなくなってしまう可能性があります。

ライザーを高めに設定し、唄口形状は広めで前後に対称ではないアンダーカットを施しています。また、リッププレートの前方の曲げ角度が大きく、抵抗感は少なめ。抜群のコントロール性を誇り、低音から高音まで均質に発音できるのが特長です。

(YAMAHA の HP より)


Type M は Bijou より吹きやすいことを目指したメルヴェイユに標準装備されています。

確かに抵抗感が少なくなっていながら音色の豊かさも Type H ほどではありませんがある程度持っているという印象です。

でも使えるなら Type H の方が魅力的だと思います。

Type Hをベースにライザーを高くしショルダー・アンダーカットを多めに取り、さらに息のあたるリッププレートの上面を削って息の通りを良くしています。音色変化を重視しながら鳴りやすさと発音性を高め、色彩感の豊かさと深みある響きを合わせ持つのが特長です。

(YAMAHA の HP より)


Type CType Y はそれ以外のモデルと比べると強い個性は少ないという印象です。

自分の吹き方に合うものを選べば良いと思います。

丸めの唄口形状、若干高めのライザーに大きなアンダーカットを施しています。適度な抵抗感があり、吹き込むことにより深みのある響きと豊かで艶のある流れるような音色が特長です。蓋付きヘッドキャップを採用することで音の纏まりを高めています。

(TYPE C。YAMAHA の HP より)


ライザーを低めに設定し、テーパーは絞りの深い2段テーパーを採用。ニュートラルな音色を持ちながら心地良い吹奏感と深みのある響きを持ち、音色の変化をコンロールしやすいのが特長です。

(TYPE Y。YAMAHA の HP より)



YAMAHA の説明を引用しましたが、頭部管を選ぶときにはあまりこの説明にこだわりすぎない方が良いと思います。

あまり読むと先入観を持ってしまいます。

これまでも書いてきましたが人の口や唇の形、息を吹き出すアパチュアの形などそれぞれ違います。

実際によく知っている曲を吹いてみて比較するのが一番です。

試奏回はそうそうあるものではないので、銀座の YAMAHA を尋ねてみるのが良いかもしれません。



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並べてくれた Bijou は展示会であちこちに運ばれている楽器で、いろいろな人が手にして吹き込まれている楽器です。

一昨年私が試奏したもこの個体だったはずです。


いま Bijou をメインで使っているところでこの試奏用の楽器を吹いてみると反応が早くてずいぶんこなれているという印象でした。

反面、金属疲労というほどではありませんが艦隊がだいぶ振動にさらされているような印象があります。

メカニズムもどことは言えませんがなんとなく調整が必要になっているような印象でした。

私の楽器とは内径が微妙に違うので頭部管を互いに交換して比べてみることはできませんでした。

試奏用の楽器の頭部管を私の楽器に取り付けることはできましたが少し緩いです。

その響きは楽器本体の響きが優勢という印象でした。要するにこの頭部管を取り付けてもやや変化はあるもののそれほど大きな違いはないということです。

頭部管は重要で楽器全体の響きを作り出しますが、楽器が変わればもちろん響きも変わります。


私の楽器はいま私が吹き続けることによって個性が固まりつつあるのかなと思います。



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YAMAHA の頭部管の表面に刻印された音叉を組み合わせたマークが頭部管の中心を表していますので通常はこれが真上(キーの延長線上)に来るようにセットします。


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ところがいろいろ響きの良いセッティングを探しているとこれを僅かに外側に回した位置が一番良い響きが得られることがわかってきました。

これが実に微妙な角度で、目視ではピッタリ合わないことがあります。

しかし合ったときはこの楽器の持つ斎場の響きを得ることができます。


その点を試奏を始める前に YAMAHA のスタッフの方に尋ねますと、確かにマークはそうなのだがこの楽器(頭部管)は少し外側に回すように作られているという説明なのです。

なぜなら設計に関わった工藤さんの吹き方がそうだから、ということでした。


納得するとともにやはりそれで良かったのだと安心できました。



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この後は六本木です。

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