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易し過ぎない『源氏物語』入門 [本]

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大河ドラマも紫式部ですし、知識を増やしたいなと思っていたのですが、初心者向けの解説本などはたくさんあるものの学生向けかと思うようなものが多くてちょっと物足りないと思っていました。


たまたま今日書店に立ち寄って源氏物語関連のコーナーを見たらこんな本がありました。



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先日ネットのニュースで現代語訳の比較を取り上げていたのですが、原文にどのくらい忠実か、当時は当たり前だったので書かれていないことをどのように取り込むか(現代語訳に織り込むか、注釈にするか)など訳者による工夫が解説されていました。


谷崎、与謝野、円地、瀬戸内、林、角田、アーサー・ウェイリー(毬矢まりえ、森山惠訳)の冒頭部分を比べています。

橋本治、大塚ひかり訳には触れられていません。


こんな本もあります。


源氏物語 現代語訳書誌集成 (新典社研究叢書331)

源氏物語 現代語訳書誌集成 (新典社研究叢書331)

  • 作者: 佐藤 由佳
  • 出版社/メーカー: 新典社
  • 発売日: 2020/10/07
  • メディア: 単行本
角田さんの訳は少し読んだのですが、止まっています。



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この本は現代文によるあらすじ、原文の一部とその訳、当時の服装や風俗に関する解説、人物相関図などを使ってバランスよく頭に入る印象です。


源氏物語絵巻の画像も収録されています。



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出たばかりです。

大判で価格も高いですが、内容は充実しています。


さすが平凡社ですね。


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"CARPENTERS The Musical Legacy Yesterday Once More" [本]

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先日出たばかりの本です。



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写真集くらいの大判の本で 376ページ。

原書が出版された昨年はカレン没後四十年の節目です。



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文字はやや大きめで読みやすいレイアウトです。

貴重な写真も多数収録されています。



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初期はロック全盛の頃で彼らの音楽は "お坊ちゃんお嬢ちゃんの音楽" "軟弱" などと言われました。



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カレンはドラムの方が好きでしたが、リチャードに同行したレコーディングの場面で歌ってみてと言われたのが歌のキャリアの初めのようです。



カレン・カーペンター―栄光と悲劇の物語

カレン・カーペンター―栄光と悲劇の物語

  • 出版社/メーカー: 福武書店
  • 発売日: 1995/02/01
  • メディア: 単行本
 
カレンは33歳の誕生日の前月に拒食症で亡くなりましたが、元々ややぽっちゃりした体型であったことからダイエットに励むようになったそうですが、1974年の来日時に和服を着て写真を撮った頃が最も太っていたとのことです。
 
1980年に結婚しましたが1981年暮れには結婚生活は破綻したとのことですが、離婚届にサインする予定だった日(1983年)の早朝に意識不明であったところを発見され、その日のうちに亡くなっています。
 
1980年頃は兄のリチャードも睡眠薬依存症のリハビリを行っていたとのことです。
カレンの摂食障害には親子関係が背景にあるとされていますので兄の依存症もそうだったのかもしれませんが、リチャードは両親は大袈裟な愛情表現は得意ではなかったと述べているそうです。
 
大部の本なのでいつ読めるか分かりませんが、時間を見つけて読んでみようと思います。


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柴田訳『ナイン・ストーリーズ』:Jerome David Salinger [本]

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書店に立ち寄って新刊の棚を眺めていたら柴田元幸さん訳の『ナイン・ストーリーズ』の文庫版が並んでいました。



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野崎さんの訳は何度も読みました。

柴田さんの訳はヴィレッジブックスの『モンキービジネス』に掲載されたのが初出です。


映画『フィールド・オブ・ドリームス』に登場する作家は元々サリンジャーだったそうですが、承諾が得られなかったとのことです。




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野崎さんは同じサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』の訳が有名です。



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柴田訳


これは単なる短編集ではないのです。

元々短編集の体裁で刊行されたものではなくて『ザ・ニューヨーカー』などに掲載されたものを集めたものですが、今やこの九つの物語の一つでも欠けるとか新たに一編を加えるなどは考えられないのです。



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野崎訳


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柴田訳


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柴田訳



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野崎訳


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『大工よ〜』や『ハプワース〜』は取っ付きにくい印象です。



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野崎訳



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野崎訳



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柴田訳


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柴田訳


各短編のタイトルの訳し方の違いだけ見ても興味深いのですが、 Wikipedia にはこれまで訳されたものの詳細が載っています。


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これは野崎版ですね。


・『J.D.サリンジャー作品集』(繁尾久・武田勝彦共訳、文建書房、1964年)- 新版・グーテンベルク21(電子出版)、2022年
 別版『サリンジャー選集(4) 九つの物語 大工達よ、屋根の梁を高く上げよ』 (荒地出版社、1968年、新版1990年ほか)-「大工~」は滝沢寿三訳
バナナフィッシュに最良の日 / コネチカットのウィグリおじさん / エスキモーと戦う前に / 笑っている男 / 小舟にて / エズメのために――愛と汚れ / 美しき口もと、ひとみはみどり / ド・ドミエ・スミスの青の時代 / テディ
・『バナナ魚日和』(沼沢洽治訳、講談社、1973年 / 『九つの物語』、講談社文庫、1980年)
バナナ魚日和 / コネティカットのひょこひょこウサギ / 対エスキモー戦開戦前夜 / 笑い男 / 小舟での出来事 / エズメに――愛と汚れをこめて / 我が人の口愛らしく目は緑 / ド・ドミエ=スミスの青の時代 / テディー
・『ナイン・ストーリーズ』(野崎孝訳、新潮文庫、1974年、改版1992年)
バナナフィッシュにうってつけの日 / コネティカットのひょこひょこおじさん / 対エスキモー戦争の前夜 / 笑い男 / 小舟のほとりで / エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに / 愛らしき口もと目は緑 / ド・ドーミエ=スミスの青の時代 / テディ
・『九つの物語』(中川敏訳、集英社文庫、1977年、改版2007年)
バナナフィッシュに最適の日 / コネチカットのよろめき叔父さん / 対エスキモー戦まぢか / 笑い男 / 小舟のところで / エズメのために――愛と惨めさをこめて / 愛らしき口もと目はみどり / ド・ドーミエ=スミスの青の時代 / テディー
・『九つの物語』(鈴木武樹訳、角川文庫、1971年 / 東京白河書院「サリンジャー作品集3」、1981年)
バナナ魚にはもってこいの日 / コネチカットのグラグラカカ父さん / エスキモーとの戦争の直前に / 笑い男 / 下のヨットのところで / エズメのために――愛と背徳をこめて / 美しき口に、緑なりわが目は / ド・ドミエ=スミスの青の時代 / テディ
・『ナイン・ストーリーズ』(柴田元幸訳、ヴィレッジブックス[3]、2009年、文庫版・2012年/河出文庫、2024年1月)
バナナフィッシュ日和 / コネチカットのアンクル・ウィギリー / エスキモーとの戦争前夜 / 笑い男 / ディンギーで / エズメに――愛と悲惨をこめて / 可憐なる口もと 緑なる君が瞳 / ド・ドーミエ=スミスの青の時代 / テディ

(Wikipedia)


A Perfect Day for Bananafish

Uncle Wiggily in Connecticut

Just Before the War with the Eskimos

The Laughing Man

Down at the Dinghy

For Esmé—with Love and Squalor

Pretty Mouth and Green My Eyes

De Daumier-Smith's Blue Period

Teddy


A Perfect Day の訳し方一つをとっても違いますね。

私としては野崎訳の「うってつけ」に痺れてしまっているのでこれ以外ないという感じですが、「日和」も悪くはないですね。

鈴木訳の「もってこい」もなるほどとは思います。


昔のキャッチコピーで「ゆっくり走ろう北海道」とか「でっかいどお。北海道」というのがありましたが、あれはリズムがいいんですよね。

 ゆっくり と ほっかい

 でっかい と ほっかい

が揃っているのがいいんです。

「ゆっくり走ろう北海道」が受けると「ゆっくり走ろう〇〇」というのがいくつも登場しましたが、「北海道」だから良かったのです。


perfect は最良(繁尾・武田訳)、最適(中川訳)もいいのですが Bananafish を「バナナ魚」でなく「バナナフィッシュ」として「うってつけ」とするとリズムが近くて心地良いんです。


言葉はリズムも大切なんです。



サリンジャーの娘が本を書いていますが、読んでいません。

 


我が父サリンジャー

我が父サリンジャー

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/04/01
  • メディア: 単行本
このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年 (新潮モダン・クラシックス)

このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年 (新潮モダン・クラシックス)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/06/29
  • メディア: 単行本
この本は買いましたが、訳文もかなり苦労しているようでしたが読みづらく、途中で挫折しました。
タイトルの訳ももっと何かありそうに思います。
 This Sandwich Has No Mayonnaise
ハムサンドイッチよりはハムサンド。
たまごサンドイッチよりはたまごサンド。
若者はマヨネーズとも言わずマヨらしいです。
マヨねえぜ、このサンド。




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新潮文庫は昔のアンカット本の名残があります。

昔講談社文庫が出た時、紙の質が良くて小口も天地も切り揃えてあるのが新鮮でした。


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「紅白本合戦」(新潮文庫) [本]

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あるところでこんな車を見ました。

最初赤いものが目に入ったのでなんだろうと思ったのですが、ツノが見えてこれはトナカイだなと気づきました。

オーナーはユーモアのある人のようです。


今回は全部 iPhone11 Pro で撮っていますので画質がイマイチです。

トリミング耐性とか色の補正の余裕がないんですよね。



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いつも立ち寄る書店に行きましたらこんなものが目に入りました。

新潮文庫で今年売れた本のランキングが記載されていました。


先日取り上げました「大切な人へ贈りたい本フェア」で展示されていた米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』が男性の6位に入っています。


その他はないですね。



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冬休みに読んでもらおうというのか、他の出版社でもディスプレイを展開しています。

集英社文庫は夏は「なつイチ」というキャンペーンを展開します。



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幻冬舎文庫と講談社文庫。

角川や文春などは気づきませんでした。

角川は夏はやるんですが、どこかにあったのでしょうか?



米澤さんの『儚い羊たちの祝宴』は出版社で改めてプッシュしたようで、最近の出版ではありませんが平積みにもなっていました。


文藝春秋の単行本で『可燃物』(2023年7月)の帯に "2023年三冠" とありましたが、

 「このミステリーがすごい!」第1位、

 「ミステリが読みたい!」第1位、

 「週刊文春ミステリーベスト10」第1位

とのことです。


2021年出版の『黒牢城』(角川書店)は2022年4冠だそうで、

 「ミステリが読みたい! 2022年版」国内篇 第1位
 週刊文春ミステリーベスト10 国内部門 第1位
 『このミステリーがすごい! 2022年版』国内編 第1位
 『2022本格ミステリ・ベスト10』国内ランキング 第1位
 第12回山田風太郎賞受賞

とのことで、更に翌年1月には第166回直木賞を受賞しています。


『儚い羊たちの祝宴』を(書店のアンケートで)推したのは私ですが、米澤さんの作品は NHK でドラマ化された『満願』で興味を持って読み始めました。

<古典部>シリーズと呼ばれる、高校を舞台にした作品が人気があるようですが、そのシリーズはまだ読んでいません。


何冊か読んだ中では『儚い執事たちの祝宴』が一番強い印象を残しました。

他の作家のいろいろな作品の影があちこちに出てくるのでそれを追いかけてみるのもとても興味深いです。

もっともらしく述べているものであっても作者のオリジナルであったなんてものもありますが、それもまた洒落ていていわば知的な満足があります。

極めつけは「儚い羊たちの晩餐」(こちらは"晩餐")に登場する「厨娘(ちゅうじょう)」と「アミルスタン羊」でしょう。


本好きの方にはたまらない一冊です。


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初めての灰谷健次郎 [本]

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先日の三省堂書店のフェアで展示されていた本を一冊買ってみました。

推薦の言葉には特に感じるものはなかったのですが、評価されている作品だということは知っていました。



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作品名も著者のお名前も知っていたのですが、手に取ったことはありませんでした。



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世に出てから49年。

ロングセラーですね。



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17年前に亡くなっています。



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今読んでいる本を読み終わったら読んでみます。
他の作品も読んでみることになるかもしれません。
 
新しい出会いのきっかけを提供するのが書店のフェアの狙いですね。
フェアが終わった後でここに展示された本がそれぞれ何冊売れたか、きっと集計するのでしょう。
 
人と本とのマッチングですね。

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「大切なあの人へ贈りたい本フェア」:三省堂 [本]

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よく立ち寄る三省堂書店で独自のフェアが開催されています。

このお店単独のイヴェントのようです。


事前にアンケートのような用紙が配布されて、贈りたい相手と本、コメントを記入するようになっていました。


展示は今日からです。



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いろいろな分野から選ばれているという印象です。

書店が選定しています。


今手に入る本というのがフェアで取り上げる条件でした。

取り上げられた人には書店のポイントがプレゼントされますが、絶版の本でも展示はできないけれど選考の対象にはなるということでした。


この展示をきっかけに手に取って買って欲しいということでしょうね。



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推薦のコメントは省略しますが、贈りたい相手と本のタイトル、コメントした人の名前(実名と思われるものは省略)を拾ってみます。


左上から

がんばり過ぎている友人へ   きみのことがだいすき(いぬいさえこ)

    わんわんより


◎(未記入)          『リサとガスパール オペラざへいく』(アン・グットマン著

                              ゲオルグ・ハレンスレーベン絵)

   (省略)


学校の友達へ         『ノラネコぐんだんうみのたび』(工藤ノリコ)

    Taiより


ほいくえんのお友だちへ    『ミッケ!がっこう』(Jean Marzollo文、Walter Wick写真)

    すきなポケモンはルカリオより

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推しがいる人へ        『推し、燃ゆ』(宇佐見りん)

    T推しより


妹たちへ           『西の魔女が死んだ』(梨木香歩)

    Rより


R先輩へ           『ちはやふる』(末次由紀)

    ペンギンより


息子へ            『三国志』(神楽坂淳)

    KKより

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◎(省略)へ          『さくらえび』(さくらももこ)

   (省略)


子育てをがんばっている友人へ 『美しいものを見にいくツアーひとり参加』(益田ミリ)

    NYより


大阪で暮らしている娘の淳ちゃんへ小春日和:インディアン・サマー』(金井美恵子)

    あさおっちより


大切なオットへ        『菊乃、黄泉より参る』(翁まひろ著、 くろでこイラスト)

    M・K より



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仲の良い同僚へ        『八朔の雪(みをつくし料理帖)』(高田郁)

    ポコより   


こどもへ           『兎の眼』(灰谷健次郎)

    おやより


子供へ            『塩狩峠』(三浦綾子)

    ぴこりより


成長した息子へ        『沈まぬ太陽 御巣鷹山篇』(山崎豊子)

    息子のママより


最近"金返せ"と言いたくなる本ばかりでお怒りの読書好きへ

                『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信)

    (省略)

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母親へ            『80歳の壁』(和田秀樹)

    ぷうより


中学生の時の自分へ      『壁を破る言葉』(岡本太郎)

    汁そば。より


年金生活になった親友へ    『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(紫苑)

    みみずくより


本屋でバイトしているあなたへ 『部屋も頭もスッキリする!片付け脳』(加藤俊徳)

    ミヤモトより


◎過去の僕へ          『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑)

    (省略)


若手社員の皆様へ       『七つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)

    T.Nより



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孫へ             『おおきなかぶ(A. トルストイ著、佐藤 忠良イラスト)

    R.Cより


学校給食の現場で働く友人へ  『[30人前] [150人前〜]作る大量調理のコツ』(小宮真弓)

    からあげじゃないよザンギだよより


忙しい毎日を過ごす主婦の方々へやる気1%ごはん テキトーでも美味しく作れる悶絶レシピ500

                                      (まるみキッチン)

    Yママより


同棲中の娘へ         『ラクしておいしい! Mizukiの1品晩ごはん』(Mizuki)

    ママより


妹へ             『一日1600kcalの健康献立集』(女子栄養大学栄養クリニック監修、

                               岩﨑 啓子、牛尾 理恵 著)

    姉より


絵本あり、コミックあり、小説あり、エッセイのようなものあり、ビジネス書あり、ハウツー本のようなものあり、実用本ありと多彩です。
和歌や俳句、詩集や画集、写真集などはないですね。
 
私のお勧めも選ばれています。
で、眺めていると読んだことがあるのは私のお勧め以外は一冊もありません。
絵本は『100万回生きたねこ』(佐野洋子)が入ってないのは残念です。
選考基準の一つは今手に入るものということです。
漱石や鴎外、三島や川端、太宰、谷崎なども一冊もありません。
村上さんも入ってないですね。
 
 
世相を写しているというとちょっと違うかもしれません。
今回は初めての試みで応募する人も戸惑ったかもしれません。
次回がもしあるならば結果を見てみたいですね。

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光免疫療法 [本]

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ネットの記事か何かで読んで興味を持って読んでみました。


非常に興味深いです。


楽天の三木谷さんのお父さんが癌であることがわかって色々手を尽くしたそうですが、その過程で楽天の創業期から出展している「R.L」(ワッフル、ケーキのお店)の神保哲也氏がいとこである小林氏との縁を繋いだそうです。



新潮選書
『がんの消滅 天才医師が挑む光免疫療法
 芹澤健介 小林久隆[医学監修]
第一章 光免疫療法の誕生
P16
 がん細胞の表面には他の正常細胞にはないタンパク質が多数、分布している。がん細胞を移植されたマウスの体内組織に、このタンパク質とだけ(特異的に)結合する物質を送り込んでやれば、がん細胞にだけその物質がくっつくことになる。この物質に蛍光物質をつけてやればどうなるか。がん細胞だけを光らせることができる。
(中略)
 その日、朝から試していたのは<IR700>という光感受性物質だった。光に当たると化学反応を起こして発光する物質である。IRは Infrared=赤外線の略だ。700nm付近の波長の光に反応するからIR700と名付けられた。700nmの光とは、テレビの赤外線リモコンでも使われるような無害安全な種類の光である。(中略)
 その光を何度がん細胞に当ててもうまく光らない。
 マウスのがん細胞と試薬はちゃんと結合しているはずだった。だが、きれいに光らない。がん細胞が仄かに発光はするのだが、際立った反応を見せることもなく、そのまま暗くなってしまう。(中略)
P20
 そのIR700の実験がうまくいかない。
 それどころか、がん細胞は死んでしまっているようだった。(中略)
 急いで倍率を上げてよく観察してみると、がん細胞がどんどん壊れているように見えた。まるで水風船が割れるように、あるいは焼いた餅が膨らむように、がん細胞が次々と膨張して破裂していくのだ。(中略)
 小川はミーティング直前、実験の様子を上司である小林に伝えた。
「今朝からIR700を試しているんですけど、うまくいかなくて……」
「うまくいかない?」
「何度やっても死んじゃうんですよ」
「……死ぬって、何が」
「がん細胞が、です」
「がん細胞が死ぬって……小川さん、それってどういうことや」
(中略)
「すごい、すごいで! これは治療に使えるんちゃうか!」
 光免疫療法が“発見“された瞬間だった。
(中略)
P46
 IR700の分子構造は、不溶性のフタロシアニンを水溶性に変えるため、骨格の中心にケイ素原子(Si)を組み込み、その上下に側鎖として、水和しやすいスルホ基を結合させている。当時、小林の助手をしていた“化学屋"の小川美香子に言わせれば「非常に扱いにくそうな化合物」である。
 体内に投与されたIR700と抗体の複合体ナノ・ダイナマイトはがん細胞の表面に数千個から数万個結合する。そこに近赤外線を当てられると、フタロシアニンを水溶性にするために結合されていた側鎖がスパッと切れ落ちる。スルホ基を失ったフタロシアニンの骨格は水に溶けない元の性質に逆戻りし、瞬間的に分子形状を変化させる。小林は言う。
「この時IR700が付いた抗体はIR700の周りにクルッと丸まるように変形して、細胞骨格との結合部分であるタンパク分子を根こそぎ引っこ抜いてしまいます。そのタンパク分子はもともと細胞膜を杭のように貫いているものなので、それが引き抜かれると細胞膜にボコッと穴があく。それが1ヶ所ではなく、あちこちで同時多発的に起こる。ボコボコボコボコと、たくさんの傷がつくわけです。そして、その傷口から周囲の水分が細胞内へと一気に流入していきます。すると、細胞の内側は水を溜められる許容量を超え、焼き餅のように膨らんで、ついには割れていく。細胞膜が内側からの水圧で物理的に破壊されていくのです。まるで内側に小さなダナマイトを仕掛けられたような感じで細胞が割れていきます」



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日本では研究環境に恵まれずアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に研究の場を得ますが、日本でいち早く治療法として認められ、部位は頭頸部(咽頭など)に限られて、他に有効な治療法がない場合に限られているそうです。


100% 治療できるというわけではないそうですが、第一の選択肢として、どの部位のガンでも採用できるようになればと思います。


まあ素人が考えるほど簡単ではないはずですが、iPS細胞の山中氏も期待を寄せているそうです。



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私が生きているうちには普通に保険適用で治療を受けられる、というようにはならないでしょうね。

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新川帆立:『剣持麗子のワンナイト推理』 [本]

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作者は東大法学部卒で弁護士だそうです。

『元彼の遺言状』がデビュー作ですが、それは読んでいません。



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しばらく前に買って今日読み終わりました。



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これ、名刺の形をした栞です。



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この作者の本を全部読んでみたいというような感想はありません。

デビュー作も。


医師や弁護士、弁理士など高度な専門知識を持つ著者がその知識を生かした作品を描くことが多いように思える今日この頃です。

その専門知識を一般の人が楽しめるような形で作品にするという点はいいと思うのですが、小説の味わいという点を考えると何かが欠けているように思えて仕方がないのです。

心を打つものと言ってもいいでしょうか。


先日も『君のクイズ』(小川 哲 。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学)を読んだのですが、知識だけで書いているような印象で、心理描写はないわけではありませんが情景描写が通り一遍で、文字になっていない部分が何もないという印象です。

目新しさを消化してしまうとそれで終わりです。

読み返そうという気持ちにはなりません。


これも一応文学に分類されるのでしょうが、10年経ったら忘れられているのではないでしょうか。

出版社は心を打つものを世に出そうなんて考えていないのかもしれません。

とにかく売れるもの、なのかもしれません。
 
教科書からは名作が消えて行っているようですし、子供の頃に幸せな読書体験ができるかどうか、人格形成にも大きく影響すると思うのです。
 
そういう印象を持った作品をなぜ取り上げるのかと言いますと次のフレーズが最近の事件に妙にぴったりだと思ったからです。
 
第四話 お月様のいるところ
「こうすれば儲かると分かっていても、それはやってはいけないという境界線があるのよ。普通の人は境界線で立ち止まって引き返す。それなのに私は、突き進んでしまったのよ」

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『続 窓ぎわのトットちゃん』 [本]

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今月3日に発売になりました。



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『窓ぎわのトットちゃん』が出たのが 1981年3月。

42年と半年以上前ですね。


イラストは続編も同じ いわさきちひろ  さんでした。

タイポスというフォントが使われたことも話題になりました。

出版社は同じ講談社です。



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たくさん翻訳もされました。



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アニメ映画にもなるそうですし、



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実写化もされるらしいです。
 
黒柳さんはたくさん本を書いていらっしゃるので NHK に入社した頃のことや海外に行ったことなども断片的に知っています。
 
2016年には NHK で『トットテレビ』というドラマも放送されました。
黒柳さん役は 満島ひかり さん、向田邦子さん役を ミムラ さん、渥美清さん役を 中村獅童 さん、森重さん役を 吉田鋼太郎 さんがつとめました。満島さんの演技も評価が高かったですし、ミムラさんも向田さんそっくりという評判でした。
 
ゆっくり読んでみたいと思います。
 
 
明日の朝は更新はしません。

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中島京子:『やさしい猫』 [本]

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先日まで NHK で放送されていたドラマの原作です。

特に視たいと思っていたわけではないのですが、なんとなく視ていたらだんだん引き込まれました。



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みなさんの演技も良かったです。



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図らずも不法滞在になってしまったスリランカ人男性を軸に物語が展開します。

元々惹かれあっていたシングルマザーの日本人女性と結婚したので入管に出向くのですが、途中で警察官に呼び止められ、滞在期限が切れていたことから不法滞在として収監され、国外退去処分が出されます。

仮放免も認められず、家族は裁判で取り消しを求めます。


現実にあった事件を思い浮かべながら視ていました。

入管という組織やこうした問題については何も知らなかったので大変興味深かったです。


裁判を起こしてもほぼ勝ち目はないこと。

在留資格を得るための結婚ではないのかと問われます。

どのようにしてそれを認定するのか、どうしたら仮放免を得られるのか、知らないことばかりです。

放送中には「(不法滞在の外国人に対して)手口を教えるものだ」という批判もあったようです。



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まだ読み始めたばかりです。

中島京子さんの作品は以前『小さいおうち』を読んでいい印象を持ちました。

この作品も語り口がちょっと似ているなという印象があります。


賞をとっていますし、一読の価値はあると思います。


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