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中島京子:『やさしい猫』 [本]

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先日まで NHK で放送されていたドラマの原作です。

特に視たいと思っていたわけではないのですが、なんとなく視ていたらだんだん引き込まれました。



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みなさんの演技も良かったです。



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図らずも不法滞在になってしまったスリランカ人男性を軸に物語が展開します。

元々惹かれあっていたシングルマザーの日本人女性と結婚したので入管に出向くのですが、途中で警察官に呼び止められ、滞在期限が切れていたことから不法滞在として収監され、国外退去処分が出されます。

仮放免も認められず、家族は裁判で取り消しを求めます。


現実にあった事件を思い浮かべながら視ていました。

入管という組織やこうした問題については何も知らなかったので大変興味深かったです。


裁判を起こしてもほぼ勝ち目はないこと。

在留資格を得るための結婚ではないのかと問われます。

どのようにしてそれを認定するのか、どうしたら仮放免を得られるのか、知らないことばかりです。

放送中には「(不法滞在の外国人に対して)手口を教えるものだ」という批判もあったようです。



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まだ読み始めたばかりです。

中島京子さんの作品は以前『小さいおうち』を読んでいい印象を持ちました。

この作品も語り口がちょっと似ているなという印象があります。


賞をとっていますし、一読の価値はあると思います。


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lamer75

ドラマで見ました。
外国から来た人の扱い問題提起良かったです。
by lamer75 (2023-08-09 12:50) 

センニン

lamer75 さん、こんばんは。
私も興味深く視ていました。
国相手の訴訟はほぼ勝ち目がないというのは他のドラマや小説でも述べているのですが、ドラマなので嫌な結果にはならないだろうと思いながら視ていました。

法廷での証人尋問のシーンであの女性が棒読みのように畳み掛ける場面が強く印象に残っています。

原作でクマさんの本名を目にしたのですが、これは「深い愛によって結ばれて」いても普段「クマさん」と呼んでいるのでは咄嗟には口に出ないのだろうなと思いました。原作ではその伏線が張られています。

ドラマの主人公たちは悪意はないのは視ている方はわかっているのですが、実際はそうではない事例が多いのでしょう。
NHK にも「手口を教えるものだ」という抗議があったようですが、それも一理あるかもしれません。

実務に当たっている職員の人たちは性悪説に基づいて行動しているわけではないでしょうが、嘘を見逃してはいけないという使命感があるのかもしれません。
実際に亡くなってしまった事件が大きく取り上げられましたが、対応は難しいのだろうなと思いました。
by センニン (2023-08-09 18:56)