スタイルカップの構造:ROYAL COPENHAGEN [道具]
保温や保冷ができるカップはステンレス製で真空二重構造になっているものがおなじみです。
ステンレスの水筒なども基本的な構造は同じです。
こちらは ROYAL COPENHAGEN の磁器のカップです。
絵付けのないシンプルな製品です。
こちらは以前取り上げましたメガというシリーズです。
店頭や取り扱いの注意を書いた紙で構造が図解されていますが、どうやって焼くのでしょうね?
焼き方はかぶせ焼きではなくて普通に立てて焼いているので飲み口は釉薬が掛かって滑らかで、糸底の下(テーブルに接する円形の部分)は普通にざらざらしています。
真空二重ステンレスボトルなどは底面にプラスチックや紙のシールが貼ってありますが、それで気密を保っているのでそれが劣化したり剥がしたりすると保温保冷の効果は弱まってしまいます。
で、こちらのカップはシールは貼ってありませんが底を見ると何やら小さな穴のようなものが見えます。
どうやら元々穴があったのではないかと思えます。
中はどうなっているのだろうと考えていたらおあつらえ向きと言いますかなんと言いますか一つ落として割ってしまいました。
外側が見事に割れました。
内部はざらざらしています。
釉薬はかからないのでそれはそうでしょう。
穴だったと思われる部分を内側から見ると釉薬が入り込んだかのような状態が見て取れます。
きれいに割れたものです。
内側をクローズアップで見るとこんな感じです。
外側から穴を開けた時に生地が内側に少しはみ出したのかと思われる形状です。
釉薬をかけるときに穴から釉薬が内部に入り込むもののようです。
しかしちょっと不思議なのは例えば「蛍手」と言われる技法(二重ではない普通の白磁の茶碗の一部に穴を開けたものに透明釉をかけると焼き上がった時にその部分が半透明から透明に向こうが透けて見えるような仕上がりになる)ならば穴の部分が透けて見えるのですが、これを見ると釉だけでなく磁土も使われているのではないかと思えます。
実際のところは工場見学でもさせてもらわないとわからないかもしれません。
もう一つ気になるのは内側を真空にしているのかどうかですが、窯の中を減圧できるのでなければ無理でしょう。
真空ではなく空気があるのかもしれません。
空気だとしても断熱効果はあります。
怪我の功名と言いますか、わざわざ割ることは考えられないのですがたまたま売っている人も見たことがないようなものを見ることができました。